実践ギフトマナー講座

日本人が贈り物の「包装」にこだわるのはなぜ?

独特の感性で洗練されていった

日本人が包装にこだわる理由についてですが、大きく分けて2つの理由があります。

1つは、「手先が器用」という理由があります。
日本人は、良く細かいことに気がつくと言われていますが、それ以前に、「職人芸」と言えるような加工技術を持っている人が多いことでも有名です。

このような特徴を持っているだけでなく、日本人は「心を表す所作、形」などをこよなく愛するという一面があります。
包装というのは、包装紙を用いるだけでなく、今ではデコレーション用のリボンまで使用し、包装された贈答品などを受け取る相手のことも考えて、包装紙の内側にも細工を施しているケースが増えているのです。

これこそ、日本人の手先は器用であるということの証明につながるのですが、和の精神として包装紙で包むだけでなく、職人芸を散りばめながら、受け取る相手のことも考える・・・というところが日本人の素晴らしいところでしょう。

理由その2ですが、「日本はイベントが多い国」なので、このような贈り物事情が存在するのではないかと言われています。
外国でもイベントは多く存在します。

ですが、包装紙などを用いてプレゼントを保護するのではなく、主に「大きな紙袋、大きなプラスチック製の袋」などで保護することが多く、且つ、贈答品が見えていても問題ない・・・というケースが多いのです。
しかし、日本のイベントは「礼儀が前提となっているイベントが多い」ため、中が見えていては不格好ではないか?という指摘が発生するため、包装紙を利用する習慣が昔から存在します。

具体例としては正月、バレンタインデーなどが該当するでしょう。
正月は、「一年の計は元旦にあり」と言われているほどなので、正月らしさを重視している家庭が今でも数多く存在します。

そのため、贈答品の包装についても「清廉潔白さを表す白を基調としたもの、高級感を表す色合い(黒、金)を基調としたもの」などを良しとしています。
バレンタインデーについても、「愛情を表すカラーとして赤、桃」といったカラーが良く利用されていますし、このような日本独自のイベントの影響で、包装技術が高まっていったという見方も存在するのです。

業者間の競争により洗練された

日本人が包装にこだわる理由の中には、「業者間の競争」に関するものも多く含まれています。

大手の業者ほど、ショッピングセンターで「無料で包装します」という宣伝を行っておりますし、今では「ラッピングコーディネーター」という、包装に関する資格を持っている技術者まで存在するのです。
そのため、昔から存在する包装に関する技術が、このような業者、人の手によりさらに洗練されていったという背景も存在します。